わずか74年後には、日本の人口が今の半数に減少すると見込まれるなか、“ふるさと熊野”を子や孫に残すために、私たちには今できることがあります。
個性豊かな文化を活かした魅力的なまちづくりも、移住する場所、住み続ける場所として人々をまちに惹き付ける大切な取り組みの一つのはずです。
熊野町は、筆産業とそれにより培われた文化芸術が息づくまちです。このソフトパワーを活かし、この地に住む人々がつながり、まちと文化を未来につなげるため、都市公園と観光交流拠点施設の整備を進めています。

「文化芸術のまちづくり~走るミュージアムバス制作」
筆と筆文化が暮らしに根ざした個性ある地域づくりを進めるため、文化芸術のまちづくりの中核的拠点である筆の里工房は今後、展示による「鑑賞型の学び」に加え、新施設・創作館を中心に展開する利用者の自発的・主体的な「創作型の学び」を支援する機能を拡充させます。
その一環として、芸術を学ぶ学生に熊野筆と筆文化に触れてもらう「文化芸術のまちづくり~走るミュージアムバス制作」を、創作館プレイベントとして8月19・20日の両日に開催し、熊野高校と安田女子大学から、合わせて21名の学生に参加いただきました。
視察研修 「筆づくりの現場を訪ねる」
イベントの1日目は筆事業所に赴き、筆づくりの見学と職人との交流を行いました。
筆や筆文化が日ごろから身近な存在である学生も、筆製造の現場に立ち会う機会は滅多にない貴重な経験です。
「筆を作る人」と「筆を使う人」との交流は、筆文化の理解と継承にとって大切な要素になります。

實森誠実堂
株式会社竹宝堂
講義「書文化を知る」
イベント2日目の前半は、筆の里工房の名児耶館長による講義が行われました。紀元前後の漢字の渡来や平安末期から鎌倉時代にかけた「仮名(かな)」の実用化の歴史、作品(古筆)を鑑賞する際のポイントなどを学びました。
「走るミュージアムバス」制作
イベント2日目の後半は、9月23日の創作館オープンを告知するデザインがラッピングされた広島電鉄のバスの車体に、学生たちが筆で直接揮毫しました。
熊野高校は「地域と共に未来を描く 筆の都」、安田女子大学は「遊心 ひらめきを乗せて街を彩る」としたためました。一発勝負のため緊張の面持ちながらも、一文字一文字に心を込めて、力強く、丁寧に書きあげました。
車内にも書画作品が展示され、まさに「走るミュージアム」の完成です。
このバスは、令和8年10月3日から土・日祝日に運行される筆の里工房系統路線(矢野駅ー熊野営業所ー筆の里工房)の車両に使われ、街なかを走行します。


戸髙まりなさん(熊野高校1年)
未来の熊野町をより活気のある町にしていきたいという私たちの願いが、日常生活に欠かせない路線バスを通して多くの人に伝わると嬉しいです。
このイベントに参加して、町の活性化や発展への想いが、一層強いものになりました。
筆の里工房系統路線時刻表
運行開始 令和8年10月3日
運用曜日 土曜日、日曜日、祝日
運行区間 矢野駅ー熊野営業所ー筆の里工房

シンポジウム「創作館からはじまる文化芸術のまちづくり」
町の行政運営の最上位計画である熊野町総合計画に掲げる「文化芸術のまちづくり」を推進するため、「創作館からはじまる文化芸術のまちづくり」と題したシンポジウムが8月23日に開催されました。
シンポジウムでは、熊野町文化芸術のまちづくり応援大使を務めていただいている画家の野村重存さんの基調講演に続き、創造的な活動に興味・関心のある人々による会員制ネットワーク「クマノ・クリエイティブ・パレット(KCP)」の活動構想や創作館の将来展望について、7人のパネリストによる発表と討論が行われました。
シンポジウムの内容は、次のリンク先からご覧いただけます。
基調講演 「五感で楽しむ創作館」

画家 野村重存 さん
私たちは普段、美術館は「作品を見る場所」というイメージを持っています。
しかし、創作とは本来、「見る」だけではなく「感じる」ことからも始まります。
風景に心を動かされたとき、森の木々をぬける風の音を聞いたとき、木漏れ日に目を細めたり土や草の香りを感じたりするときなど、五感による体験が創作の源となりますし、それらを感じながら絵を描いたり物を作ったりしているのだと思います。
今日は、私の作品を例にこのことをお話しします。創作館での五感を使った活動から、多くの笑顔と感動、そして新しい感性や文化が育まれることを期待しています。
「桜並木」

私が暮らす神奈川県相模原市の桜並木です。散りゆく花びらをひとひらずつ筆で描いた作品です。
「描く」ことは、それを見て写す「作業」だけではありません。この作品では、風に舞う花びらの姿を感じながら描きました。
「奥入瀬」

こういった流れの早い渓流を描くときも、単に目で見て描き、写すだけでは臨場感は表せません。
激しい早瀬の音を聞きながら、または声に出しながら描いてゆくと、不思議なもので手はそれを表そうと動きます。
「ゴールデン・レトリバー

動物を描くのも好きで、写真をモチーフに水彩や色鉛筆などの画材で描きます。
右手には画材を持ち、左手ではあたかも毛並みを撫でている、その手触りを想像しながら描いています。つまり触覚を感じながら描いているわけです。
「爆破」

「プレバト」という番組でお手本として制作した作品です。
爆破イベントの映像をもとに描いたものですが、実際の爆破の瞬間は煙や炎が一瞬で広がり熱も感じるはずですから、音や煙のにおい、炎の熱を想像し、感じながら描きました。
「ギャル曽根」

同じ番組でタレントのギャル曽根さんが、お好み焼きやソース焼きそばを食べるシーンのお手本です。
食べ物の臨場感が伝わるよう、食感や味やにおい、つまり味覚などを感じながら描いたわけです。
次回のお知らせ
創作館落成式の様子やオープニング記念講演会の内容をお伝えします。
この記事に関するお問い合わせ先
産業観光課
〒731-4292 広島県安芸郡
熊野町中溝一丁目1番1号
電話番号:082-820-5602
ファックス:082-854-8009
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